シミには、いくつかの種類があります。
「シミを取りたい」と思っていても、自分でできるシミ対策には限界があり注意が必要です。
色や大きさ、形状だけでなく、発生部位、発生原因がそれぞれ異なり、シミの種類によって対策や治療法も異なります。
また、実は複数の種類のシミが混在している、というケースも多いので、シミの改善を目指すなら、自己判断せずに医師による診察を受けましょう。
【1】老人性色素斑
・特徴
シミの中でも最も多いのが、「老人性色素斑(日光黒子)」です。
紫外線が原因で、長年にわたり日に当たった部分に生じます。境界がはっきりとしており、多少いびつな場合もありますが丸に近い形で、大きさは米粒大のものから数cmの大型のものまでさまざまです。
色は薄褐色~濃褐色で、年齢とともに徐々に濃くなることから「老人」という言葉が付いていますが、通常30歳以降から発生するようになり、早い方だと20代でも出現します。
紫外線が原因であるため、頬骨周辺や手の甲など日が当たりやすい場所に発生することが多いです。
・対策
紫外線が原因なので、何よりもまず日焼けを避け年間通してUVケアを怠らないことが基本の対策となります。
また、黒色メラニンの排泄を促すためには、保湿ケアや、食事・睡眠など生活習慣を見直して肌代謝を整えていくことも大切です。
クリニックでは、光治療、レーザー治療、外用薬、内服薬などによる治療を行います。
【2】雀卵斑(そばかす)
・特徴
「雀卵斑(そばかす)」は、茶色い小さな粒のような斑点がいくつも散らばっている状態を指します。
鼻を中心に頬の周り発生することが多いですが、顔だけでなく肩や腕など体にも表れます。
雀卵斑は遺伝的な要因が強く、老人性色素斑とは違い幼少時から発生します。紫外線の影響により悪化する場合もあり、春~夏に色調が濃くなる傾向があります。
個人差がありますが、思春期頃に目立つようになり中高年以降に薄くなることが多いといわれています。
・対策
遺伝的な要因のため完全に防ぐことは難しいのですが、悪化予防のためには、日焼けしないように気をつけ日頃からUVケアをしておくことです。
クリニックでは光治療、レーザー治療などが適応となりますが、再発の可能性もあります。
【3】肝斑(かんぱん)
・特徴
「肝斑(かんぱん)」は、境界がはっきりせず様々な形状に広がるシミで、薄褐色~濃褐色に両頬、鼻、額などに左右対称に発生するのが特徴です。
30代~40代の女性が発症しやすく、症状が見られるのはだいたい50代後半まで。妊娠中やピルを服用しているときなどに発症しやすく、閉経後は目立たなくなっていくとされています。
肝斑発症のメカニズムはいまだに解明されていないのですが、女性ホルモンの変動、紫外線、洗顔やスキンケア時の刺激、炎症などがメラノサイトの活性化に関与して悪化すると考えられています。
・対策
女性ホルモンのコントロールは難しいですが、自分でできる対策としては、紫外線を防ぐこと、摩擦を極力避けること、保湿ケアです。
クリニックでは、内服薬、外用薬、レーザートーニング、導入治療、ピーリング治療などを組み合わせて行います。
治療を行う際も、紫外線カット、摩擦を避ける、保湿の3点は必ず必要となります。
【4】ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
・特徴
「ADM」は頬骨を中心に現れるアザのようなシミの一種。「後天性真皮メラノサイトーシス」「両側性太田母斑様色素斑」とも呼ばれています。
褐色または青みがかった色をしており、通常のシミと違い、メラノサイトが皮膚の深い場所(真皮内)に位置している色素病変です。
明らかな原因は不明です。
シミの一種である「肝斑」と見た目が見ているため間違えやすいですが、実際は「シミ」ではなく「アザ」と同等の原理のため、クリニックで施術を行う場合も、ある程度の回数が必要になります。
・対策
発症のメカニズムがはっきりとは解明されていないため、これといった予防法がないのですが、他の種類のシミと同様に、紫外線防御と保湿ケア、生活習慣の見直しは悪化予防につながります。
皮膚の深い部分(真皮)に存在している色素沈着のため、クリニックではレーザー治療が一般的です。
【5】炎症後色素沈着
・特徴
「炎症後色素沈着」は、ニキビ、傷、やけど、虫刺されなど、何かしらのダメージによって皮膚に炎症が起こったあとにメラニンの色素が沈着してできたシミを指します。
炎症によって生じるシグナルで色素細胞が活性化することが原因と考えられています。
通常肌の炎症が治まって赤みが引いた後にあらわれ、肌のターンオーバーによって半年から数年かけて徐々に薄くなっていくことが多いのですが、受けたダメージの状況によっては消えずに残ってしまう場合もあります。
・対策
必要以上に炎症部位を触ったり掻いたりすると、炎症が繰り返され色素沈着のリスクが高まります。
また、はっきりとした炎症はなくても、ひじや膝のように衣服の擦れなど慢性的に刺激が加わることで生じる場合もありますので日頃から注意するとよいでしょう。
クリニックでは、外用薬、内服薬、ピーリング治療、導入治療、レーザートーニングなどで治療を行います。
実際には種類の異なるシミを併発しているケースがほとんどです。
シミを取りたい人は、自分でできる対策をしっかりと行うとともに、美容皮膚科でしっかりとシミを見極めてもらい、症状にあった治療を受けることをお勧めします。